実写映画『約束のネバーランド』|感想【ネタバレあり】

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2020年12月18日(金)公開、映画『約束のネバーランド』。

鑑賞してきました。

映画『約束のネバーランド』公式サイト

映画のネタバレを含む内容ですのでご注意ください。

あと、だいぶ辛口です。

前置き

基本的に漫画の実写版は原作とは別物だと思っています。

漫画の設定と世界観とストーリーを元にしたまったく別の作品。

今作の場合、原作のキャラクターは名前も外見の特徴も明らかに日本人ではないので、日本人の役者が演じていることで逆に原作と切り離して観られるのではないかと考え、鑑賞することに決めました。

この記事は、

  • 原作は最終回まで読了
  • アニメ1期視聴済み
  • メインキャストのうち子供たちを演じる方々のことは今作にキャスティングされたことで初めて知った

という、出演者や監督に一切興味のない、原作ファンな人間が書いています。

鑑賞前の気持ち

なぜ年齢設定を変えてしまったの……⁇ という不安がとにかく大きかったです。

出荷年齢の12歳にはちゃんと理由があったのに、16歳に変わって物語が成立するのか……?? と。

実際に11歳に見える役者さんをキャスティングするとなると、演技力やアクションシーンの関係で難しいよな……とは思いますが……。

イザベラは原作のイザベラに近い見た目になっているので、期待していました。

クローネは、見た目の印象は全然違うけれど、キャラクター性重視のキャスティングなのかな ??

正直、予告編やメインビジュアルからは拭い切れないコスプレっぽさを感じてしまっていて、期待より不安の大きかったです……。

鑑賞後の感想

まず初めに結論。

この作品にお金を払って観に行く価値はない。

開始後30分も経たずに帰りたくなる映画は久しぶりに観ました。

ただし、世界観の作り込みは良く、イザベラの演技には一見の価値があります。

キャラクターについて

おそらく映画の約2時間の尺におさめるためだと思いますが、クローネやドンとギルダが主となるシーンはばっさりなくなっていたこともあって、エマ・ノーマン・レイを中心にストーリーが展開します。

役者さんやファンの方には申し訳ないけれど、3人で会話するシーンは学芸会か ?? とツッコミを入れたくなるクオリティ。

今作の大部分を占める要素なだけに、この3人のキャスティングはもっとどうにかしてほしかったです。

年齢設定を変えるのは実写化の都合上仕方ないとしても、せめてメイン3人の見た目と実力は揃えるべきだったのでは……??

エマ

演技は上手だったと思います。

ただ、本来11歳が言う台詞を15歳が言っているので、やはりところどころ台詞と見た目が合っておらず、拭い切れない違和感。

ママと並ぶシーンも違和感がありましたが、それは私が11歳設定のエマを知っているからで、「15歳の女の子と孤児院のママ」として見たら悪くはないかと思います。

なまじ役者さんの顔の造形が綺麗なばかりに、髪の毛染めてパーマかけたイマドキの大人っぽい女子高生にしか見えず、エマの大きな要素である純粋さが削がれていたように感じました。

レイへの「そんな線引きしないでね」のシーンなど、狂気を感じるほどの博愛の精神や、運動神経の良さが伝わるシーンが物足りなかったのも残念。

ママの前での無垢な子供らしさや、ノーマン・レイと一緒にいるときの天真爛漫さもイマイチ感じられなかったけれど、「小さなママ」たる皆のお姉さんではあったのでそこは良かったです。

もし成長したエマを演じたならばもっとハマり役だったと思うので、もったいない……。

ノーマン

思ったよりコスプレ感はなく、見た目は意外と馴染んでいました。

台詞まわしや動きなど演技のわざとらしさが気になったんですが、この方は舞台役者さんなのかな ??

決して下手なわけではなく、これがもし「舞台『約束のネバーランド』」だったらハマり役だったと思いますが、映画として観ると浮いてしまっているように感じました。

レイ

今作最大のミスキャスト。

原作から変更して15歳設定という話なのに、レイだけ15歳より幼く見えるせいでエマ、ノーマンと3人での会話で違和感がひどく、内容に集中できない……。

舌足らずで滑舌悪いところが幼さに拍車をかけている上、とてもフルスコアの秀才には見えない……。

演技も、お世辞にも上手いとは言えないものでした。フィル役の子の方がずっと上手……。

年齢設定を変えず、11歳のレイとして出演していれば、(見た目は)ハマっていたと思うんですけどね……。

イザベラ

今作一番のハマり役。

原作より圧倒的に母性が足りていなかったけれど、それは役者さんによってというよりはエマたちの年齢設定が変更されている影響が大きいように思います。

終盤、脱獄した子供達を追いかけるシーンは迫力があったし、クライマックスに追加されたオリジナルのシーンでは泣かされました。

このイザベラが観られただけで、時間とお金を費やした価値がありました。

クローネ

コミカルな演技が面白いです。

良くも悪くも「渡辺直美さん !! 」という印象。

表情や動きはクローネに求めていたものがとてもよく表されていたけれど、もう1人大人が来て脱獄がより困難になってしまった……という絶望感や、知性や体力でかなわないと感じる恐ろしさは足りず。

クローネのバックボーンがわかるシーンが丸々カットされてしまっているので、原作未読の人からしたらおそらくただの野心家にしか見えていないだろうな…というのが残念。

あと、最期、ヴィダ刺して殺してなかった……??

その他のキャラクター

グランマはセリフも出番もほとんどなかったけれど、ハマり役だなと感じました。

ラートリーは原作では本来出てこないオリジナルシーンで出てきましたが、う〜ん……ちょっと微妙……
私は役者としての松坂さんは高く評価しているし、実際演技は良かったけれど、ラートリー役にハマっているかと言われると残念の一言。
日本人顔に金髪ウェーブヘアのウィッグが非常に浮いていて、真面目な会話なのにギャグにしか見えませんでした。
今作の範囲にはまだ登場しない某キャラ役とかだったら、もっとハマっていたんじゃないかと思うんですけどね……。

ドンとギルダはあまり出番はなかったけれど違和感はありませんでした。

気になったのが、今作でほとんど目立ったシーンのないハウスの子供たちの中に日本人以外の子供もキャスティングされていること。
原作でも様々な外見的特徴を持った子供たちが集まったハウスなので本来ならおかしいところはありませんが、今作ではエマたちメインキャストを日本人が演じる違和感を強めてしまっているように感じました。
子供たちも全員、日本人役者の方が良かったんじゃないの ??

ストーリーや世界観について

中途半端

一番の印象はとにかく中途半端の一言に尽きます。

キャスティングも、見た目に寄せるのか、キャラクターの方向性に寄せるのか、はっきりせず。

作品としても、原作の再現を目指すのか、原作と別物であっても映画としての完成度を目指すのか、はっきりせず。

いさぎよく原作を忠実に再現することを諦めて、原作の設定と世界観とストーリーを借りた別物として作ってくれればそれとして観られたと思うのに、ところどころ原作やアニメで印象的だったシーンを高い再現度で挟んでくるから、否が応でも原作を意識せざるを得なくなってしまっています……。

唐突に飛び出すダチョウ倶楽部

私の聞き間違いじゃないと思うんだけど、途中、ダチョウ倶楽部してなかった ??

「おれやるよ!」「おれがやるよ!」「じゃあおれが「どうぞどうぞ」ってやつ。

寒い上に世界観ぶち壊しでは ??

監督はどういうつもりであのシーンを採用したのか理解できません。

そういう点でも、原作に寄せたいのか切り離したいのかわからない中途半端さを感じます。

私が知らないだけで、原作でもどこかで使われてるのか……??

一応、観賞後に原作読み直してみたけれど、本編中にダチョウ倶楽部ネタは見つけられませんでした。

本当に何がしたかったんだ……。

ストーリーはやや急ぎ足

原作やアニメと比べるとダイジェスト感は否めませんが、
ストーリーのポイントは押さえてあって物語としては成立していたのではないかと思います。

一応、原作を知らない人でも一通りの流れは理解できるでしょう。

ただ、脱獄編の一番の見どころはママとの心理戦だと思うんですが、それについてはあまり感じられませんでした。

あと、ところどころキャラクターの心理が理解できないところはあるかもしれません……。
(原作への誘導と考えれば、ちょうど良い塩梅かも ?? )

原作ファンとしては、キャラクターへの理解や感情移入が深まる描写が省かれている部分が多くて、物足りなさを感じました。(クローネの過去や、ノーマンの糸電話など)

原作改変シーンについて

原作では脱獄よりずっと後に判明する謎が、オリジナルの台詞や追加シーンによって説明されている部分がありました。

説明っぽさが強くてややくどさは感じるものの、原作未読の人がこの映画内で疑問を残さないためには、良い判断だったのではないかと思います。

良かったところ

世界観

ハウス内の雰囲気や森の中の景色といった世界観は原作のままで、「約ネバ感」が感じられました。

鬼のCGもクオリティが高く、全体的な動きや目のぎょろぎょろした細かい動きまで迫力がありました。

クローネとの鬼ごっこ

クローネの追走を逃れたノーマンが上から見下ろしているシーン。

ノーマンの特別感が非常に良く表れていて良かったです。

諦めてないエマ

脱獄直前、レイに問われたときのエマの表情。

原作でもゾクッときたシーンだったので、ここを丁寧に作ってくれたのは嬉しかったです。

ママとのお別れ

原作の展開を一部改変したオリジナルの会話がありました。

正直、蛇足だったと感じる面もあります。

あそこは、回想と独白だったからこそ子供たちが自分の元を離れていったイザベラのあの台詞が引き立つんじゃないの ?? と。

ただ、今作では細かい心理描写が省かれている部分が多く、原作を知らずにこれまでのシーンだけでイザベラの心境を想像するのは難しいと思うので、このシーンの追加は正解だったのではないかと思います。

そして、このシーンのイザベラが今作最大の見どころだと個人的には思っています。

イザベラの、レスリーに対する想い、レイに対する想い、エマたちに対する想いと自分の立場とが複雑に絡み合った葛藤と、エマたちを見送る寂しさと清々しさの絶妙に混じり合った表情が、とても良く表現されていました。

このシーンは涙が止まりませんでした。

「最初の朝」

脱獄後、外の世界を眺める子供たちのラストシーン。

ハウス脱獄の達成感と、まだ見ぬ世界への不安や希望と、景色の荘厳さとが相まって、綺麗な終わり方だったし、原作でも扉絵にもなる印象的なシーンだったので、ここを再現してくれたのは嬉しかったです。

おわりに

漫画原作の実写化は作る方も難しいだろうし、観るのも難しいな……と改めて感じた1作になりました。

音楽や世界観の再現は良かっただけに、キャスティングさえうまくいけばもっと良いものになっていたんじゃないかと思うと、残念です。

出演されている役者さんのファンだったり、原作を知らずに観る分には、もっと楽しく観られるのではないかと思います。

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